〈昭和シリーズ〉22 七夕と映写会

　地元の七夕は8月7日だった。小学校のグラウンドにおっきな笹竹が立てられ、短冊に願い事を書いてくくりつけるためにみんなが集まる。夏休み中だから、普段は会えない友だちに会えるのが楽しいし、集まるのは夕方で暗くなると星空や天の川が見られるかもしれないし、何より暗くなってから出かけられるのはめったにないから、それがとてもワクワクした。夕方から家を出るということ自体がめったにないことだから、理由はなんでもよかった。自分の願い事よりもみんながどんなことを書くのかも気になるし。もっとも自分が何を書いたのかはさっぱり思い出せないけどね。それからやっぱりグラウンドに集まると自然と追いかけっこをしたり、鬼ごっこをしたりする。そういうなんてことない遊びが楽しかった。おっさんになったいま追いかけっこをすると、一瞬で足をつると思う。いつの時代もあの頃しかできない、あの頃しか楽しめないことがあるのですよね。
　暗くなってから出かけられるのは、他に夏休みの映写会があった。これはグラウンドに手製のスクリーンを設置してパイプ椅子を並べ、どこかから借りていたフィルムをまわす。スクリーンはピンと張ったシーツだったかもしれない。ボクが覚えているのは四谷怪談のお岩さん。昭和のそれは映像が暗く内容もおどろおどろしいから、それなりに怖かった。大勢で見て近所の子たちと一緒に帰るからなんとかなるのだけど、夜中にひとりでトイレとかには行きたくない気持ちになる。
　そもそも映画館では「寅さん」しか見たことがなかったから、おっきなスクリーンで見る映画自体に憧れがあった。あの頃、テレビが白黒からカラーに変わった頃だったけど、テレビ画面は小さく、おっきなスクリーンで見る映画はまったく別物。だから怪談話でもそれなりに楽しめたと思うのでした。

〈今日の一言〉
　暗くなってから出かけるというのは、いまも楽しいかも(笑)



　今日も皆さまの周りが笑顔でいっぱいになりますように（願）





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